PROJECT
【サンゴプロジェクト】
「サンゴの苗を作ってみよう」イベントを開催しました
2026.01.28

2025年11月30日(日)、葛西臨海水族園にて、新水族園のオープンに向けた「サンゴプロジェクト」のイベント「サンゴの苗を作ってみよう」を開催しました。
「サンゴプロジェクト」は、こどもたちが楽しみながらサンゴとその環境について学び、新水族園オープン時に展示できるようにサンゴを育てていくプロジェクトです。今回はその一環として、新水族園で展示予定のサンゴの苗作りを体験し、現在の水族園でサンゴを展示している水槽を表と裏の両側から見学するプログラムを実施しました。
参加したこどもたちは、サンゴの苗作りや水槽の見学を通して、サンゴがどのような生き物で、どのように育つのかを学び、サンゴがくらす海への関心を深めていました。
※ 記事内記載の「サンゴ」は、サンゴ礁を形成する「造礁サンゴ」を指します。
サンゴってどんな生き物?
葛西臨海水族園では現在、「サンゴ礁の海」水槽で日本産サンゴの飼育に取り組んでいます。この水槽のサンゴは、2028年にリニューアルオープンする新水族園においても展示を継続する予定です。今回のイベントでは、こどもたちが、新水族園で展示する予定のサンゴの苗を作りました。
苗作りに先立って行われたのは、水族園職員によるプログラムの概要やサンゴの生態についての説明です。

サンゴは木の枝のような形をしていますが、実は植物ではなく動物です。サンゴをよく見ると、イソギンチャクのような姿をした小さな「ポリプ」がたくさん集まっているのがわかります。このポリプには、エサをつかまえる触手や、エサを食べたりフンを出したりする口、食べたものを消化する胃などがあります。
さらに、サンゴの体を顕微鏡で拡大してみると、茶色の小さなツブツブが見えます。これは、「褐虫藻(かっちゅうそう)」という藻類(そうるい)の仲間で、サンゴの体の中でくらしています。褐虫藻は光合成によって栄養を作り出し、サンゴはその栄養をもらい、お互いに支え合って生きています。

「サンゴって何だろう?」という水族園職員の問いかけに、はじめは「海に生えている木」「植物」と答えていたこどもたちも、その生態を知り「サンゴは動物なんだ!」「ウンチも口から出るの!?」と驚いた様子でした。
サンゴの増え方には、卵を産む方法と、折れた枝が岩にくっついて育つ方法があります。今回のイベントでは、サンゴの採集や輸送の時に折れてしまった小さなサンゴの枝で “苗”を作りました。
サンゴの苗作りに挑戦

サンゴの苗作りは、4~6人ずつのグループに分かれて行いました。小さなサンゴの枝を土台に固定し、1人ひとつずつサンゴの苗を作ります。
はじめに、サンゴを固定するための接着剤の準備からスタートです。ゴム手袋をつけ、粘土のような2種類の特殊な接着剤をよく混ぜ合わせます。その後、サンゴの枝をサンゴ養殖用の土台のへこみにあて、棒状に伸ばした接着剤を根元に巻き付けていきます。接着剤を指でおさえ、形を整えたら完成です。


サンゴにダメージを与えないように作業は丁寧に素早く行い、できあがったサンゴの苗はすぐに水の中へ戻します。こどもたちは、「2種類の接着剤をこねるのがちょっと大変だね」「うまくサンゴがくっついたかな?」などと話しながら、真剣に作業に取り組んでいました。
苗作りを終えたこどもたちは続々と、水族園職員が半年ほど前に作ったサンゴの苗の周りに集まり、「今日作った苗も半年経ったらこれくらい大きくなるかな」「ポリプを見つけたよ」などと、楽しそうに話し合っていました。

サンゴの水槽を裏側から見てみよう
サンゴの苗を作った後は、2つのグループに分かれ、サンゴの水槽を表と裏の両側から見学しました。向かったのは、たくさんのサンゴと色とりどりの魚を展示している「グレートバリアリーフ」水槽です。

水槽でくらす魚たちの食べかすやフンは、細かくばらばらになって水の中に漂い、サンゴにとって大切な栄養になります。水槽を裏側から見ると、照明や水流がしっかりと管理されている様子がよくわかります。照明は褐虫藻による光合成を促し、水流にはエサをサンゴへ流れやすくするなどの役割があります。こどもたちは「サンゴがくらしやすい環境になるように工夫されているんだ」と感心した様子でした。

水槽の表側からは、サンゴの枝の間に隠れる小さな魚の姿も、裏側から見るよりもはっきりと見えます。こどもたちからは「サンゴに隠れて敵から身を守っているんだね」「サンゴはいろんな生き物のおうちになってるね」との声が。サンゴとサンゴ礁にくらす生き物たちの関わりについて、「なるほど!」という表情を浮かべながら学んでいました。
サンゴを守るためにできること

たくさんの生き物のいのちを育んでいるサンゴですが、今、世界中でサンゴが減っています。その大きな要因が地球温暖化です。地球温暖化によって海水温が上昇すると、褐虫藻がサンゴから離れてしまい、その結果、サンゴの体が白く見えるようになります。これを「白化現象」といい、白化した状態が続くと、サンゴは褐虫藻から栄養をもらえずにやがて死んでしまいます。
サンゴが減るということは、サンゴとともにくらすたくさんの生き物の住みかが失われることでもあります。サンゴ礁の危機を知ったこどもたちは、「サンゴを守るために何ができるだろう」と話し合い、「ゴミを減らす」「電気をこまめに消す」「食べ物を粗末にしない」など、たくさんの意見があがっていました。
今回のプログラムでは、こどもたちがサンゴの生態や海の環境について学びながら、自分たちの手でサンゴの苗を作りました。サンゴの苗作りや水槽見学を通して、サンゴの役割やサンゴ礁の海への理解も深まったようです。
こどもたちが作ったサンゴの苗は、葛西臨海水族園のバックヤードで飼育係が育て、状態が安定した後に「サンゴ礁の海」水槽で展示する予定です。また、成長後は、新しい水族園でも展示を目指しています。こどもたちからは、自分たちが作ったサンゴの苗がどのように展示されるのか、新水族園の完成を心待ちにする様子もうかがえました。

<参加した皆さんの声> ※抜粋・要約
「普段見られない水槽の裏側を見学できて面白かったです。今日作ったサンゴの苗が大きく育ってほしい!どんなふうに展示されるのか楽しみです」(小学校3年生のお子さん)
「サンゴの苗作りはとても楽しかったです。サンゴの水槽で水流などが工夫されているのを知ってびっくりしました」(小学校4年生のお子さん)
「サンゴの白化現象の話を聞いて、無駄な電気を使わないなど、サンゴを増やすためにできることからはじめようと思いました」(小学校4年生のお子さん)
「職員の方の説明がわかりやすく、こどもにも理解しやすかったと思います。サンゴや海の環境について、親子で考える良い機会になりました」(保護者の方)
<水族園職員より>
「サンゴの生態や白化現象などの話は少し難しい内容でしたが、お子さんたちはみんな真剣に耳を傾け、しっかりと理解してくれたようでした。サンゴが長い年月をかけて積み重なってできるサンゴ礁は、海でくらす多くの生き物にとって非常に重要な役割を果たしています。今回のプログラムを通して、サンゴがどのような生き物かを知り、日常生活の中でサンゴを守るためにできることを意識してもらえればと願っています」

今回作ったサンゴの苗は、今後、現水族園の「サンゴ礁の海」水槽へ段階的に移動させ、新水族園での展示継続を目指します。
(「サンゴ礁の海」水槽でサンゴの苗を展示した際はこちらでお知らせします
→ 【葛西臨海水族園HP】)/
※3つのプロジェクトについては、東京都建設局ホームページ「葛西臨海水族園(仮称)整備等事業に関するよくある質問」をご覧ください。
東京都建設局ホームページ
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/park/zoo/kasairinkaisuizokuen